ワークショップオーディション

主宰する劇団の夏公演(正確には劇団によるプロデュース公演)「青い鳥」のキャスティングオーディションのためのワークショップ*1
http://www.arunet.co.jp/~yhoo/

ワークショップリーダーは本公演の演出弦巻啓太氏

ところどころプロデューサーとしての立場を忘れ、演技指導者としてワークショップをみてしまった(まあ仕方ない)。ウォーキングと発声が面白かった。

  1. 歩ける役者が少ない
  2. ペアで駄目を出す方法
  3. 発声における下半身の役割

一つ目について。

わが劇団の俳優も含め、歩くだけで目を引く俳優がほとんどいない。チャーミングだったり、きれいだったりはしても、まあ、うなづける、という感じ。キルケゴールが「反復」(だったと思うが)の中で、ある喜劇俳優を

「彼は歩くのではない、歩いてくるのである」

と評していたが、こういう俳優に出会いたい・なりたい・目指したいものだ。

二つ目について。

ウォーキングのバリエーション。風・ぬかるみ・人ごみなどの設定のもと歩く。弦巻はこれを二人一組で行わせた。片方が歩いている最中、もう一人がそれを見てひたすら駄目を出すのである。
「もっと前に!」、「ぬかるみの深さは?」云々。

人数の多いせいもあって駄目の声が段々とトーンアップし、競馬場のゴール前のような状態になったが、良い方法論だと思った。

○駄目を出さねばならないから必然的によく人を見るし、人に声をかけることになる。
○俳優同士で作劇するプロトタイプになる。
○駄目のかけ方をみることで、俳優の個性を知ることが出来る
○演出⇒俳優という固定回路*2ではないので、演技中に身体を修正するという訓練ができる。

三番目について。

発声している最中の足腰の状態を見ると、皆、硬そうで、かつ、もろそうなのだ。つまり上半身を支えきれていない印象がある。その状態では上半身に力みが入るので、大きな声がでても、聞き取りづらくなってしまう。若い小劇場俳優の発声に多いパターンである。

クリアでよく響き、しかも人工的ではない声は、粘り腰から生まれる。この粘り腰をどうやって身につけるか?そして上半身のリラックスをどう身につけるか?

筋トレーニング、リラクシゼーション、響きの意識化など全てをまとめて、トータルな方法論、伝え方が欲しい。

ワークショップはこの後、木曜・土曜と続く

*1:この「ワークショップ」という語の使い方は正しい(warai)

*2:演出が発言すること自体がストレスになる俳優がいるのだ