hommam2006-10-29

次のハウジング先に移動する前に一度帰宅する。地下鉄を降りると美容室が開店している。いつもは閉まった前を通り過ぎていた。ふわっと気持ちがトび、美容室のショーウィンドの前で子供を抱きかかえる姿のままフリーズする。女が美容室に行き、留守を子供と過ごす情景にひたっていたのだ。数秒間の幸福のビジョン。それから、腹の前で盥を抱える具合に固まっていた両腕を、のろのろと外す。油の切れたパンタグラフみたいにきしむ。

融通無碍自由自在油断も隙もあったもんじゃない俺の想念。


サーバーの移動を行う

停止手順は滞りなく進んだが、物理的な取り外しに困窮する。立ち並ぶラックとラックの間隙はサーバーを引き出すとその奥行きでちょうどいっぱいとなる。身体をさし入れる余裕がない。膝を曲げ、腰を落とし、背中をのけぞらせ(でないと手元が見えない)前頭部でサーバーを支え、ラックからはずす。おかしくね?この設計。
ついで留金具をはずそうとするが、隙間がないのと、金具そのものが硬いため、どうしても一箇所外れない。仕方なくラック側のねじを緩め、隙間を広げようとしたら、緩めすぎ、ナットが転落する。転落した先はラックの最下段のボックス。借りているハウジング・エリアは下から3段目のボックス。
きれそうになるが、一度現場を離れ深呼吸して、作業を続行する。やっと取り外し、管理者にナットの転落を報告し、詫びる。納骨堂のようなサーバールームを後にする。
借りた台車にサーバーその他機器を積み、階下に向かう。セキュリティカードシステム、常に閉まろう閉まろうとする鉄扉、その鉄扉に見合ったごつい鉄枠が三者一致団結し、私と台車の進行を妨害し、遅延せしめる。中学の部活みたいに辛い。なーにがユーザーインターフェースか!てか二人で来いってことだ。


名古屋の叔父は一進一退。加えて青森の祖父の容態が悪化している。
母が名古屋に行き一度戻り、すれちがいで父が青森に行き、戻り、昨日から再度母が名古屋に向かったそうだ。「おとうさん行ってもわかれへんみたいでなあ、手えだけにぎってな。弱ってんねわ」
父−息子系列を手と電話と祈りが繋ぐ。