普遍に

普遍になりたい。というか今のこれ、この有様を、このまま理解してほしい、抱きしめてほしい、いやほめられたい。そういうさもしい了見を携帯プレイヤーで武装した僕を始めとした面々も、もやにかすんだビルすれすれの朝日が大川に散り散りに照り返す赤い光に包まれて、あの世での幸せな風景のように環状線をすべってゆく。
その風景に魂を抜かれたように見とれていると、妹からメール。仕事厳しいとのこと。近く飯食おう、と返信。
光は誰にも平等に差すが、人は葉緑素を持たぬ。