物語でいっぱい

淀屋橋南詰、地下コンコースへの階段手前、この残暑にも背広のおじさんたちが、モアスローな歩みで、歓談うたた清。

バッファローズ好きやったんや」
「梨田!」
「浜田高校!」
「ええ男や梨田!」

その移動速度とは全く無関係に、あっという間の言葉のキャッチボール、しかも複数人で、643かくもや。

ああ、おじさんたちの、背中にははち切れんばかりの物語ひしめき合い、隙あらば、飛び出す、ヤドクガエルの毒液のように。


きっとおじさんは、コンビニおにぎりの(1)のセロファンの紐が、裏面のシールでつっ掛かることをうじうじ悩まないのだろうな。あんなに物語でいっぱいの背中は。