act札幌

俳優養成クラスのレッスン
メソッド演技における、感情の記憶エクササイズの一「リラックスと集中」を行う。
椅子に腰掛け、身体を腕、足、胴体、顔の順でほぐし、リラックスさせた後、自分の感情・センセーションにしたがって声を出すというエクササイズである。このとき、声は「あー」という音に限定し、身体は好きなように動かす。リラックスに45分、休憩を挟んで、集中に45分。
秘教的になったり、下手な催眠療法や自己啓発セミナーにならないよう、つまり、この経験自体を絶対化したり、目的化することのないよう、各自に身体の状態を確認させながら進める。
うまくなじめないものには、もどかしさをそのまま肯定することを、なんとなくそれらしいことをやってしまうものには、よく自分の身体を見、声を聞くことをアドバイスする。
一人ダウナーになる。一人非常に喉が渇く。
私が芝居を始めて1ヵ月位経ったときのことだが、立ち稽古の最中、突然ハイになり身体が暴走したことがあった。それまで舞台の上で会話ができない状態だったのだが、この暴走をきっかけに舞台に立つという状態が少し理解できた。
この暴走を、コントロールできる形にしたものが、このエクササイズだ。だが、やはり暴走するときは暴走するので、講師にとって難しいエクササイズである。
終了後、今経験したことを書き出してもらう。これは回収せず各自だけの記録とする。
自分の身体の思うようにいかなさ、コントロールのできなさ、理解のできなさを知ること(他者性とはさすがに言わなかったけれど)、そしてその不思議・面白さに心を向けて欲しいこと、をレッスンの最後に話す。