奇跡

通勤は好きではないが、運良く座れてうたた寝し、京橋手前の減速で目を覚まし、その途端、この物理運動に身を委ねていることが奇跡なのだと確信される。わたしの個別の事情であると同時にそれは、原奇跡ともいうべきはじまりの奇跡の形でもある。
数百のカケラの奇跡がゆらゆらと蒸発し、通勤快急は地下に進む。